#14 災害への備え

真夜中の地震で、
眼鏡が見つからなかった夜

災害時の不安、避難生活の心配について。ICLが「無敵」になるわけではない、という前提から正直にお話しします。

相談者
由香さん(30代・5歳の娘を育てる会社員)
体験者
(ICL手術を受けて7年が経過)
由香
こんにちは。……先月の夜中、けっこう大きめの地震があったの、覚えていますか? あのとき飛び起きたら部屋が真っ暗で、いつも枕元に置いている眼鏡が、揺れでどこかに飛んでいて見つからなかったんです。隣の部屋で娘が泣いているのに、視力0.06の私は、ぼやけた床を這って眼鏡を探すことしかできなくて。
うわ……それは怖い。声は聞こえてるのに見えないって、一番きついやつじゃないですか。
由香
結局、眼鏡はベッドの下に滑り込んでいました。娘のところに行けたのは、たぶん2〜3分後です。たった数分なんですけど、あの夜からずっと考えてしまうんです。「もっと大きい地震だったら、私はこの目で娘を守れるのか」って。
あー……分かります。私も手術前は0.05だったんで、眼鏡が手元にないときの自分って、ほぼ無防備なんですよね。由香さんも、揺れた瞬間にまず眼鏡へ手が伸びるクセ、ありません?
由香
あります! 娘より先に眼鏡を探している自分に気づいて、それも自己嫌悪で……。
いやいや、それはしょうがないですって。見えなきゃ助けにも行けないんだから、順番としてはむしろ正解ですよ。ただ……これ、自慢っぽく聞こえたら申し訳ないんですけど、手術から7年、枕元を手探りした夜が一回もないんですよ。「まず眼鏡」っていう反射ごと、生活から消えました。
由香
反射ごと消える……いいなあ。あと、避難生活のことも気になっているんです。私、普段はコンタクトなんですけど、避難所で洗浄液とか清潔な手とか、絶対に確保できない気がして。
それ、私も気になって調べたことあります。断水するとコンタクトのケアは続かないし、眼鏡は割れたりなくしたり……って、防災系の記事でもよく言われてるみたいですね。ICLを受けた人が「災害のときの安心感」を挙げてるのも、SNSでちょくちょく見かけます。……ただ、ぶっちゃけたことも言っておきますね。
由香
え、なんですか?
術後しばらくは、目薬をさしたり目を保護したりする期間があるんですよ。つまり「手術直後に大地震が来たら」っていう弱いタイミングは、どうしてもある。ICLにしたら災害も無敵!みたいな話ではないです。
由香
なるほど……。受けた後にも、逆に弱いタイミングがあるんですね。
そうなんです。だから災害への備えで考えるなら、「いつ受けるか」まで込みで考える話かなと。あと、そもそも由香さんの目にICLが合うかどうかは検査で先生が決めることなんで、私が「災害に強くなりますよ!」って安請け合いしちゃだめなやつなんです(笑)。
由香
ふふ、だめなやつ(笑)。娘のため、と思うと焦ってしまうんですけど……焦って決めることでもない、ですよね。
焦って決めるのは違う気がしますね。でも、あの夜の怖さを「まあ、そのうち忘れるか」で流しちゃうのも、なんかもったいないというか。無料検査に行けば「そもそも受けられるのか」「受けるならいつがいいのか」っていう材料が揃うんで、それが手元にきてから落ち着いて考えればいいんじゃないですかね。検査だけならタダですし。
由香
材料が揃ってから、落ち着いて考える……。そうですね。次の地震はいつ来るか分からないですけど、だからこそ慌てないで、まず自分の目の現在地を知っておきます。
いいですね。防災リュックの点検のついでに、「自分の目」も点検リストに入れちゃってください(笑)。
由香
点検リストに「目」って書いておきます(笑)。今日は話せてよかったです。ありがとうございました!

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