#13 見送るという選択

「受けない」と決めた日
― 順番を選んだ佳奈さん

プレコンセプションケアの説明をきっかけに考え始めたICL相談。今日は背中を押しません、という前提から始まった対話です。

相談者
佳奈さん(30代・妊活を始めたばかりの会社員)
体験者
(ICL手術を受けて7年が経過)
佳奈
こんにちは。……先週、産婦人科でプレコンセプションケアの説明を受けて、「妊娠を考えるなら、体のことは早めに整理しておくといいですよ」って言われたんです。その帰り道に、ふと「そういえばICLも気になってたんだった」って思い出して。視力は0.08で、裸眼への憧れはずっとあります。でも手術への怖さも消えなくて、正直、今日は誰かに背中を押してほしくて来たのかもしれません。
佳奈さん、こんにちは。……じゃあ最初に言っちゃいますね。私は今日、背中を押しません。むしろ「受けない」って結論になってもいいと思って、聞いてもらえますか。
佳奈
えっ……体験者さんなのに、ですか?
「受けてよかった」は、あくまで私の話なんです。私は納得できるまで調べ尽くして、それでようやく決めました。怖さで言えば、会社の先輩がレーシックに失敗して仕事ができなくなって辞めていくのを間近で見てたので、人一倍怖かったですよ。それでも受けたのは、怖さより納得が上回った瞬間があったからです。納得できないまま、誰かに押されて受けるのが一番よくないと思ってます。
佳奈
納得が、怖さを上回る……。私はまだそこまで行けてない気がします。それに、妊活中とか妊娠中の手術のタイミングってどうなんでしょう。
そこは正直に、「私には答えられない領域です」って言わせてください。手術のタイミングと妊娠・出産の兼ね合いは体のことなので、医師に相談すべきことだとしか言えないです。無責任に「大丈夫ですよ」とは絶対言いたくないので。
佳奈
……ありがとうございます。ネットだと「早く受けるほどコンタクト代が浮いて得」みたいな計算がたくさん出てきて、なんだか焦っちゃって。
得かどうかは二の次でいいと思いますよ。大事なのは、佳奈さんのこれからの数年で何を一番にしたいかじゃないですか。妊活を優先したいなら、それが答えです。ICLは逃げませんから。
佳奈
ICLは、逃げない……。
ええ。それに私がICLを選んだ理由のひとつは「万が一のときレンズを取り出して元に戻せる」ことでしたけど、考えてみれば、まだ受けてない人には「受けない自由」っていうもっと簡単な選択肢がありますよね。
佳奈
ふふ、たしかに。……私、決めました。今は受けません。妊活を優先します。それが落ち着いて、それでも裸眼になりたいと思っていたら、そのときにもう一度考えます。
いい判断だと思いますよ。数ヶ月ちゃんと悩んだ人が出した「今じゃない」は、逃げでも諦めでもなくて、ちゃんとした結論です。
佳奈
不思議です。「諦めた」というより「順番を自分で決めた」って感じがします。ここに来る前よりずっと、気持ちがすっきりしてます。
それが今日の収穫ですね。もし数年後に気持ちが動いたら、そのときの目の状態で検査から始めればいいだけです。だから今日は、何も予約せず帰ってください(笑)。
佳奈
はい(笑)。悩みに区切りをつけてもらえて、ありがとうございました。まずは妊活、頑張ります!